先生の想い
「私は、１０代後半の頃、生まれつき病弱だった為、家族の前にも姿を現すことができないほど、病状が悪化してしまった時期が、２年間ありました。
もちろん、外には出ることもできず、食事をするのも、唯一、母が食事を運んできてくれるだけ、あとは、家族の誰とも会う事も出来ず、いっそ死んでしまいたい気持ちでいっぱいでした。
そんな時期でも、ピアノだけは弾いていました。その時、ピアノが唯一の救いでありました。
その時期は、孤独、病気、人生って何だろう…生きる意味は何だろう…なぜ私ばかりが、こんなつらい目に遭わなければならないのか、普通に人と会えて、普通の食事が出来、普通に外出が出来て、普通の生活を送ることが夢のまた夢…そんな心境でいっぱいでした。
やがて、日にち薬で、見事、改善し、私にも、普通に人と会え、普通に人と話し、日の明るいうちに外出もできる、正に人間らしい生活を送ることができるようになりました。
今思えば、あの２年間の病床生活は、もう二度としたくない体験でしたけれど、あの時期がなければ、人としての辛さ、弱さ、苦しさをあそこまで味わうことがなければ、音楽の、人生の酔いも甘いも辛いも苦しいも、それこそ全て経験してきた作曲家の諦念というもの、境地、そして、何か救いを求める光、人間的な優しさなど、到底、理解できなかったように思えます。
音楽は、その時の作曲家の「精神」が詰まっています。
だからこそ、ピアノを弾き、作曲家の精神を表現することが、次の私へのステップとなりました。
今では、結婚もし、楽器店、カルチャーセンター、そして、緑区でピアノ講師を元気にさせて頂いていて、本当に幸せです。
ピアノのレッスンに来てくださるみなさんには、私が、ピアノや音楽から救いを得たことのように、毎日、夢や希望を持って歩んでいってほしい、との思いでレッスンをさせて頂いています。
そして、ピアノがそばにあることで、一生幸せになってほしい、「ピアノの弾き方」を習うだけでなく、音楽の美しさ、深さを知り、元気になる、楽しい！と思ってもらい、自分を認め、自分を大好きになってほしい、それが、私の心からの願いであります。」
